Sakuyaの図書室

書物の御紹介

鼠と蛙の音楽会 entry22

 第22回目は絵本の御紹介です。


f:id:sakuyamonju:20190421235622j:plain

【5ひきのすてきなねずみ
   おんがくかいのよる  】

 著 者/タシロ チサト氏


 ある満月の美しい晩のことです。
小さな鼠が巣穴から顔を出しました。
全部で5匹。名前はぐれ、くろ、しろこ、ちゃたろう、ちびすけと言います。

聞こえるよ ほら、ぐれが囁きました。
えっ なにが しろこは首を傾げました。
本当だ。 聞こえるねえ とちゃたろう。

風に乗ってどこからか、音楽が聞こえて来るのです。

どこから聞こえてくるの ちびすけが言うと、
行ってみようぜ くろが通りへ飛び出したので、

5匹は音のする方へ歩き始めました。

 5匹は時々立ち止まっては耳を澄まし、音を辿って進み、とうとう公園の入り口にやって来ました。
音楽はこの中から聞こえてくるのです。
暗い公園を進むにつれ、音楽はだんだん大きくなります。
ほら、みて。看板があるわ しろこが言いました。
なんて書いてあるの ちびすけが尋ねました。
看板には、

  蛙の音楽会
  蛙でないもの
  お断り
f:id:sakuyamonju:20190422102511j:plain
5匹は草の間からそうっと音楽会を覗いて見ることにしました。
それは見たこともない素晴らしい光景で、月明かりの下で沢山の蛙達が歌っています。

  月の彼方に 月の彼方に
  響け 僕らの音楽

そのメロディーの美しいこと・・・。
5匹は夢中で聞き入りました。
f:id:sakuyamonju:20190422102625j:plain
その時、横から声が聞こえました。
看板が見えなかったのケロ ここは蛙だけ。そういう決まりですケロ
5匹は泣く泣く帰らなければなりませんでした。


 その晩 5匹は眠ることが出来ませんでした。
音楽会の素晴らしかったこと
《 月の彼方に 》のメロディーは心に染み込む様な忘れられない節でした。
f:id:sakuyamonju:20190422103227j:plain
もっと聞いていたかったなあ
5匹は小さな声で歌ってみましたがちゅうちゅういうばかり、蛙の様には歌えません。
その時、しろこの頭にとても良い考えが浮かびました。
私達にも音楽が出来るわ 楽器を使えば良いのよ
それは良い考え
楽器を演奏して、鼠の音楽会をしようぜ


どんな楽器が良いかなあ
朝がくると5匹は町のあちこちに出かけて行って、楽器を作る材料を探しました。

  シャンシャンいう物。
  ガシャガシャいう物。
  ポコポコいう物。

町の中には良い音のする物が沢山ありました。
5匹は昼も夜も夢中で働き、とうとう素敵な楽器が出来上がると、今度は一生懸命練習をしました。
一つの曲が弾ける様になると、次の曲。町のどこかで聞いた曲や、お気に入りの曲・・・。
f:id:sakuyamonju:20190422112006j:plain

 何日も練習して、とても上手に演奏が出来る様になりました。
いよいよ音楽会を聞く準備が出来たのです。
5匹は町の皆を招待する散らしを作って、あちこちの壁に貼りに行きました。

  鼠の音楽会  出演:5匹の鼠
  次の満月の晩
  鼠集会所にて

このニュースは瞬く間に 町の鼠達に広まりました。

そしてまちに待った音楽会の晩、5匹は大切な楽器を荷車に積んで、会場に向かいました。

お客さんは来てくれているかしら
ああ、心臓がどきどきするよぅ
さあ、急がなくてはいけません。もうすぐ幕が開く時間です。
f:id:sakuyamonju:20190422125116j:plain
やがて、アナウンスが聞こえました。
御来場の皆様、5匹の鼠の登場です

幕が開き、5匹は演奏を始めました。
最初の曲が終わると次の曲・・・。
だんだん調子を上げて一心に演奏したので、曲が終わる度、客席からは大きな拍手が巻き起こりました。
f:id:sakuyamonju:20190422125841j:plain

演奏が終わると、拍手 拍手 大拍手の嵐です。近所の鼠 親戚の鼠・・・、町中の鼠が来ています。
そしてーーおやおや? 5匹は、入口のカーテンの陰からこっそりこちらを覗いている緑色の顔に気が付きました。
よく見ると ほら、あっちにもこっちにも。
蛙さん隠れていないで、さあ どうぞ ちびすけは言いました。
ところが、鼠のお客さん達はザワザワ ひそひそ。鼠の音楽会に蛙がいるなんて。
皆さん。今日は御越し頂きありがとうございます。 ちゃたろうが言いました。 もう一曲、僕達の大好きな曲を演奏します。曲の名前は、《 月の彼方に 》 !
一番前の蛙が叫びました。
それは僕達も大好きな曲ですよ なんて素敵な鼠達
5匹の楽器から美しいメロディーが流れ出すと誰もがじっと聞き入って、もう音をたてる者はいません。
やがて蛙が一匹、また一匹、音楽に合わせて歌い出しました。そして、蛙も鼠もみんな皆一緒になって歌いました。

  月の彼方に 月の彼方に
  響け 僕らの音楽
f:id:sakuyamonju:20190422140035j:plain


なんて素晴らしい夜!
なんて素晴らしい音楽会だったのでしょう!
それは鼠にとっても蛙にとっても、忘れられない夜になりました。


もうすぐ夜明け、さようならの時間です。
鼠と蛙は約束しました。
きっとまた一緒に音楽会をしましょうね。きっとですよ。



 そして、その約束は本当になったのです。
次の満月の晩に、鼠と蛙はまた一緒に音楽会をしました。
鼠の音楽会でもなく 蛙の音楽会でもない、皆の音楽会を。
f:id:sakuyamonju:20190422143836j:plain
風が音楽を運びます。
どこまでも どこまでも。

  月の彼方に 月の彼方に
  響け 僕らの音楽



f:id:sakuyamonju:20190422143919j:plain




 発 行/2007年9月25日 第1刷
 発行所/株式会社 ほるぷ出版



🌿🌿🌿🌿🌿🌿
5匹の鼠達がとても可愛らしいですね。私も音楽会に参加したいです🌿